【コラム】プログラミング教育って?プログラミング教育が2020年から必修化

2020年から小学校で始まるプログラミング教育。
どうして小学校で必修化になったのか、何をいつ学ぶのかということについて書いていきたいと思います。

なぜ必修化?

今までになかったプログラミング教育が学校教育の中で必修化されるようになったのには、学習指導要領が2017年度に改訂されたことが大きな理由です。学習指導要領については、以前、このブログでも書いたことがあるのですが、「どこの地域に行っても、その学年で学習する内容を統一し、全国どこの学校でも一定の教育水準が保てるようにするため」に国で定めているものになります。

今回の改訂で、学習指導要領の中にプログラミング教育が位置づけられました。このことにより、全国どこの小学校でも実施しなければならない(つまり必修で学習する)ようになりました。

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そもそも、この学習指導要領の中にプログラミング教育が位置づけられたのには、急速な社会の発展が挙げられます。この10数年で、スマートフォンが登場したり、LINEやFacebook・TwitterなどのSNSがサービスを開始したり、また人工知能(AI)と呼ばれる新たな技術が世の中に出てきたり、家電とインターネットがつながる(IoT)ようになったりと大きく変化しています。21世紀になった2001年当初、こんな未来が来るなんてどれだけの人が予想できていたでしょうか。

これまでの10数年のように、これからの10年先の未来も予想するのがとても難しくなっています。その中で、これからを生きていく子どもたちに「情報技術を学習や日常生活で活用できるようにするため(情報活用能力の育成)」、「論理的に考える力を身につけるため(プログラミング的思考)」に、このプログラミング教育が必修化されました。

どのようなことを学ぶの?

具体的な場面はこの後、書かせていただくとして、学習指導要領には小学校のプログラミング教育で学ぶことを次のように書かれています。

ア 児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動

イ 児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動

パッとみただけでは分かりにくいのですが、

アは「コンピューターで文字を入力するなどの基本的な活用能力」、イは「コンピューターを動かすための知識(プログラミン的思考≒論理的思考力)」を育むための学習活動と言えるでしょう。

 

プログラミン的思考とは
「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力

 

コンピューターでは問題解決をするために、たくさんの処理が実行されています。自動ドアで例えると、

・ドアが開いていて、人がいる場合→ドアを開けっ放しにする
・ドアが開いていて、人がいない場合→ドアを閉める
・ドアが閉まっていて、人がいる場合→ドアを開ける
・ドアが閉まっていて、人がいない場合→ドアを閉めたままにする

この処理を繰り返したり、条件によって動作を変えたりしています。プログラミン的思考を身につけることで、普段の日常生活でも複雑な問題を小さな単位に分割して解きやすくしたり、問題の中でも適切な側面だけを取り上げたりして、現実社会の問題解決にも応用できるようにすることを目指しています。

いつ学ぶのか?

「いつ学ぶの?」と聞かれたら、「今でしょ」と脳内でよぎるのですが…

さて、「プログラミング教育の必修化」と私たちはよくいいますが、国語や算数、さらには英語などのように「教科化」された訳ではありません。「教科化ではない」ということは「プログラミング」という時間割はないということです。ちなみに、海外の例をみてみると、我が国でおこなれるプログラミング教育と同等のものとして、「コンピューターサイエンス」という授業(教科)が行われています。10数年前から行われているので、情報に関する授業としては海外と比較すると10年以上我が国は遅れているのですね。

では「いつ学ぶの?」というと、学習指導要領では以下の内容が例示されていました。

  1. 5年生算数科:正多角形
  2. 6年生理 科:電気の利用
  3. 総合的な学習:情報に関する探究的な学習

上記以外の内容や教科でも学習は可能とは書かれていますが、これをみる限り、多くの学校では「総合的な学習の時間」にプログラミング教育を入れていくのではないでしょうか。なぜなら、算数や理科においてもこの例示を受けて教科書紙面を割いてプログラミングを用いた学習活動を示しているのですが、授業時数の関係でおそらく「配当時間外」に位置づけられることが多いと考えられるからです。

以下は、国が例示していた『第5学年「正多角形の作図の仕方」』の内容です。

<span class="su-quote-cite"><a href="https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/sho/text_2020/sansu/programming.html" target="_blank">2020年度版 啓林館「わくわく算数」より</a></span>

プログラミング教育に関するよくある間違い

プログラミング教育を行なっていくうえで、よく耳にする間違いをご紹介します。

1つ目は「プログラミング教育はプログラマーを育成するものではない」ということです。ここまで、見ていただいた方はお分かりだと思いますが、プログラミング教育では「プログラミング言語」の使い方を覚えたりするものではありません。あくまでも、子どもたちが物事を論理的に考える力(プログラミング的思考)ー手順に基づき行動をし、振り返ったり、修正したりと論理的に考える力ーを育むために行われるものです。

2つ目は「毎回の授業でパソコンやタブレットなどを使用するものではない」ということです。プログラミングというとやっぱり、パソコンなどを利用するとイメージしてしまいますよね。しかし、本来の目的が「プログラミング的思考の育成」であるため、パソコンなどを利用しなくてもできるプログラミング教育があります。

一般にそれは「アンプラグド」と呼ばれており、カードなどを使ってコンピューターの基本的な仕組みや特徴を教えたり、思考力を育んだりするものです。教科書会社のホームページには筆算を例に次のようなことが書かれていました。

筆算の仕方の学習を通して,「手順」「手順の繰り返し」「手順の終了」という,アルゴリズム化された計算処理を身につけます。
教科書にあるPのマークは,そこで学んだ表現や仕組みが,実はコンピュータに命令するプログラムを考えるときにも有効であることを示したものです。

<span class="su-quote-cite"><a href="https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/sho/text_2020/sansu/programming.html" target="_blank">2020年度版 啓林館「わくわく算数」より</a></span>

このような思考力を育み、コンピューターに応用されていることを知ることも一つのアンプラグドな学習と言えるかもしれません。

では、「アンプラグドな学習をしておけば、コンピューターやタブレットは全くいらないのか」というとそうではなく、学年の発達段階に応じた学習をするのが必要だと私は考えています。4年間(総合的な学習の時間があるのが3年生以上であるため)でプログラミング教育を行うのであれば、

3年生→アンプラグドな方法による学習(思考力の育成)

4年生→アンプラグドな方法による学習とソフト(scratchなど)を用いた学習

5年生→ソフト(scratchなど)を用いた学習とハード(ロボットやレゴなど)を用いた学習

6年生→ハードを用いた問題解決をする学習

のように、段階に応じて進めていくのが良いのではないでしょうか。6年生で、問題を与えて、それを解決するためのものをハードを用いて作るまで出来たらとても素晴らしいかなと思います。

実際に、淡路島にある小学校では、「先生がダイエットするために腹筋をするけれど長続きしないんだ」という問題から、「そのためには腹筋が楽しくなるようなものを作れば良い」→「どんなものを作ろうか」→「腹筋をするたびに、数を数えてくれて、10いくと応援してくれるものを作ろう」と思考し、課題解決に取り組む学習が行われていました。

この「問題を解決するために、ものを作ろう」というのは現代社会ではよくあることだと思います。こういった思考や行動を身につけ、育むことができたらプログラミング教育は良いものになるのではないでしょうか。

 

 

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