有識者会議で出された提言書には、はじめに現在の「子供の貧困対策に関する大綱」に関する取り組み内容やその進捗状況、評価について触れられています。2014年に大綱が制定されてから、学習支援や就労支援、スクールソーシャルワーカーの対応、スクールカウンセラーの配置など地方公共団体や各種NPO団体等の取り組みが行われたことにより、子どもの貧困率などを含めた様々な指標で改善が見られたと評価されています。実際に、子どもの貧困率をみてみると、平成24年度調査では16.3%、平成27年度調査では13.9%という結果になっており、数値を見る限りでは少しずつ改善されていっているように思われます。
また、同時に子どもの貧困に関する社会的認知が進んだとも書かれています。「子どもの貧困」が話題になった2013年頃は、「子どもが貧困になるのは、親(保護者)が頑張っていないから」「親が甘えているから」などといった声も一部でありました。実際は、「働こうとしても子どもがいるから正規雇用してもらえない」などの理由があり、一概に子どもの貧困についての問題が親のせいとは言えませんでした。現在では、そのような誤った認識も減り、社会として子どもの貧困に取り組まなければならない、どうにかしなければならないという認識が広がったように思えます。
一方で、提言では「現場にはなお支援を必要とする子供やその家族が多く存在。また、地域間の取組の格差が拡大してきた」と指摘されています。
厚生労働省が発表している「生活困窮者自立支援制度事業別委託先一覧(平成29年7月時点)」によると、1089の自治体のうち893の自治体が子どもの学習支援事業を実施しているとされています。割合にすると82%くらいです。実施率としては高いと思えますが、提言で言われている、「支援を必要とする子供やその家族が多く存在」という点においては、実施されている自治体の支援を必要とする全ての子どもが受け入れられているかというと疑問があります。
また、「地域間の取組の格差が拡大」というところでは、例えば東京都ではほとんどの地方公共団体が実施しているのに対して、兵庫県29の市町村のうち実施しているのは10の市町村であり、半数にも満たない現状があります。(平成29年7月時点の調査に基づく数値です)理由としては、地方公共団体の財政的な問題や担い手の問題などがあるのではないでしょうか。
このように、現在の取り組みで改善も見られてきていますが、まだ課題も多くあります。子どもの貧困解消に向けた取り組みをこれからも続けていく必要があり、今回、次期大綱に向けた提言が行われています。
現在の支援はもちろんですが、新たに3つの視点を踏まえた支援を盛り込んでいくことが求められています。1つ目が「親の妊娠・出産期から子供の社会的自立までの切れ目のない支援」、2つ目が「地方公共団体による取組の充実」、3つ目が「支援が届かない、又は届きにくい子供・家族への支援」です。
1つ目の「親の妊娠・出産期から子供の社会的自立までの切れ目のない支援」については、これまでの小学生や中学生を中心とした支援のみだけでなく、妊娠したときから高校卒業、大学進学等までの支援の必要性が言われています。切れ目のない支援が提供される仕組みづくりが求められています。
2つ目の「地方公共団体による取組の充実」については、先ほども述べたとおり、生まれた場所によって支援の充実度や内容に差が生まれないようにすることが求められています。、日本国内どこで生まれても等しい教育が受けられる(義務教育がある)ように、どこで生まれても等しい支援が受けられるようにしていくのですね。
3つ目の「支援が届かない、又は届きにくい子供・家族への支援」については、下記の画像を少しご覧ください。
家庭の経済力と子どもの学習意欲と書いていますが、学習意欲だけでなく親の子どもへの関心(親の意識)とも言い換えることができると思ってみてください。
マトリクス上の①に当てはまるのは「学習意欲が高く、経済的に裕福」という家庭です。この家庭では塾に行ったり、自分で家庭学習をしたりすることができると考えられます。
次に、②に当てはまるのは「学習意欲(親の子どもへの関心)が高いけれど、経済的に貧しい」という家庭です。このような家庭では、親や子どもが地方公共団体が実施している学習支援などの情報をキャッチして、参加していることが多いと考えられます。
そして、④に当てはまるのは「学習意欲は低いが、経済的に裕福」という家庭です。この家庭では、学習意欲は低いけれど、経済的には裕福なので塾などに入れることができるでしょう。
最後に、画像上で赤く塗っている③に当てはまるのは「学習意欲(親の子どもへの関心)は低く、経済的にも貧しい」という家庭です。このような家庭では、地方公共団体が実施している学習支援などにも参加しない(そのような情報を探さない)傾向にあると思われます。そして、そのような家庭や子どもへのアプローチがさらに必要と言われています。
また、マトリクスには数字としてあげていませんが、「経済的に貧しいとも言えないけれど、裕福ではない」家庭では、このような地方公共団体の支援から漏れることもあります。そのため、どうすることもできない状況に陥っている家庭もあります。
この度、発表された提言では地域における学習支援等について「学校教育やその補完だけでなく、文化・スポーツ・ 社会体験機会の提供等、幅広い教育機会が無償又は低廉な費用で利用できるようにしていくことが望ましい。」と言われています。また、「貧困の状況にある子供は様々な事情により学習意欲がそがれやすい傾向がある」とも書かれています。
学習支援[かがやき]では、この事業の大きな目的として①学習面(学力面)の向上、②精神面の安定を掲げています。そのため、学校進度等に応じた学習支援や高校入試対策といった勉強(座学)に加えて、社会体験活動、宿泊活動(自然体験活動)などにも取り組んだり、チューター(高校生・大学生・社会人)との関わりや交流、コミュニケーションを大切にしています。これらの活動によって兵庫子ども支援団体では「子どもたちの『総合的な生きる力』」(=社会を生き抜く力)を育み、この来ている場所が子どもたちにとっての「第3の居場所」となることを目指しています。
社会/自然体験活動などによって子どもたちの自己肯定感の向上や人間関係の形成能力、コミュニケーション能力、挑戦しようとする力など様々な力を育むことができます。society5.0と言われるこの時代、子どもたちの半数が今ない職業に就くと言われるこの時代に必要な力を育んでいくことが求められていると考えています。10年後、20年後、「このような能力・力をもった子どもたちに育って欲しい」という思いをもって、私たちは上記のような活動に取り組んでいます。
【参考資料(提言内容)】今後の子供の貧困対策の在り方について|子供の貧困対策に関する有識者会議
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兵庫子ども支援団体では,子どもたち−これからの地域社会を担っていく子どもたちの「未来」に期待をして支援を2013年から続けています。少子高齢化社会といわれる今だからこそ,もっと子どもに焦点を当てた活動に取り組む必要があると思っています。
子どもたち一人ひとりは大きな可能性を秘めています。子どもたちの可能性は無限大です。
色々な体験や活動をしてきた子どもたちが成長して大人になったとき,きっと次の世代へと繋げてくれると思っています。その次の世代がまた次の世代へと…このように続いていくと考えると将来が楽しみになりませんか。
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